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昨季は勝利も今季はレアルに完敗。ドルトムントはなぜ“らしさ”を失ってしまったのか?

text by 本田千尋 photo by Ryota Harada

足りなかった絶対的支柱・レヴァンドフスキ

 早くも先制を許した事で、ドルトムントにとっては苦しい試合展開となった。ロナウド、ベンゼマ、ベイルがポジションチェンジをしながら、バイデンフェラーの構えるゴールへと襲いかかる。

 9分、イスコから左サイドでボールを受けたロナウドが、ドリブルからシュートを放つ。11分、ケールがモドリッチを引っ掛けて得たFKを、ロナウドが鋭くゴールへと突き刺そうとする。いずれもバイデンフェラーがかろうじて弾いた。

 ドルトムントも反撃へと向かう。9分、ピシュチェクの右からのクロスにオバメヤンがオーバーヘッドで合わせようとする。22分には、サヒンがミドルシュートを放った。しかしゴールは遠く、26分にはイスコに追加点を決められてしまう。

 レヴァンドフスキが現ドルトムントにあって絶対的な支柱であることが、改めて対マドリー戦で示されることとなった。前線にターゲットマンがおらず、ボール奪取から攻へと切り替えても上手く繋がっていかない。シンプルにロングボールを送ることもできない。

 35分には、敵陣の左サイド深くペナルティエリアの角を囲むように、ドゥルム、グロスクロイツ、サヒンでのボール回しが見られた。ボックスの中で体を張ることの出来る選手がいないため、クロスを入れるタイミングを見失っているようだった。

 そして問題は、この欧州CL準々決勝1stレグだけに留まるものではないのである。レヴァンドフスキは来季バイエルンへ移籍することが既に決まっている。ドルトムントのような特殊なチームスタイルの根幹に関わるCFを見つけ出すことは、やはり難しい。

 ヘルタ・ベルリンのコロンビア代表ラモスの獲得が合意に至ったとのことだが、そもそもラモスは最前線で体を張るタイプの選手ではない。

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