東日本大震災で被災した子どもたちを招待したバルサ。メッシと対面も
今週スタートしたチャンピオンズリーグ(CL)のベスト8。欧州の名門クラブや新勢力が混じって勝ち抜き戦を繰り広げ、ヨーロッパ一を決める大会とあって、誰もが目の色を変えて戦うし、それをサポートする側のメディアは大きく宣伝し、今日のこの日をあおり、スポンサーもその宣伝効果に巨額を支払う。
そんな注目の一戦を翌週に控えていた先週、東日本大震災で最も被害を受けた地域の一部、日本の岩手県沿岸部から、バルセロナまでやってきたサッカー少年、サッカー少女たちがいた。
日本でも一部で報道されたため、知っている方もいることだろう。岩手サッカー協会を通して訪れた子どもたちは、FCバルセロナミュージアムツアーや親善試合など、多くの経験を手にしたほか、バルセロナのスター選手リオネル・メッシとの対面というビッグイベントを果たした。
私はその対面の瞬間を取材していたのだが、世界一と呼ばれる選手がごく普通に、“オラ!”(スペイン語で、こんにちはの意)と言いながら、部屋に入ってきた時の感動を少年少女は、一生、忘れないことだろう。ピッチ上ではボールを通して雄弁に喋るメッシだが、プライベートでは本当にシャイで、口数が少ないのだ。
この時も歌ったり、プレゼントしたりする子ども達を前に、ほとんど喋らず、笑顔で見守るばかり。それでも、最後に部屋を出ていく前に、メッシ自ら「またね」と言いながら、一人の子どもに手を差し伸べて握手をすると、全員が我も我も、とメッシに握手を求めたり、抱き着いたり、と大騒ぎになった。
もみくちゃにされながら、嫌な顔をするどころか、嬉しそうに満面の笑顔を浮かべ、差し伸べられた一人一人と丁寧に握手をしてから、メッシは練習場へ向かって去って行った。