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長友佑都 10年前

長友の判断も裏目に、監督もサジ投げた不運。インテルに何が足りないのか?

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

悪くなかった長友の判断

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決断力に満ちたプレーを見せた長友【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 ウディネーゼ戦のレビューでは「マークの厳しい時間帯にこそ得点の演出が出来るプレーヤーに成長してもらいたい」と少々無茶な事を書いてしまったが、彼はちゃんと精度を上げ、さらに成長しているのである。「自分のパフォーマンスだったり、攻撃のアイディアだったりは凄く成長しているのを実感している」と長友は言ったが、その通り決断力に満ちたプレイだった。

 その後、インテルは優勢を保ち、長友も積極的に攻撃を組み立てていた。そして32分には、先制点と同様に、外から中へと切り返しながら右足でイカルディへクロスし、正確に味方の足元へと通している。守備でも破綻はまったくなく、16分にはハンダノビッチがシュートストップしたボールをカバーするとともに、冷静に詰めてきた相手FWのタッチを誘ってCKまで回避している。

 しかしチーム共々上々の内容をしながら、致命傷に繋がってしまう不運がこの日はあった。35分、ガリクスに対する対応である。

 サイドに流れたルーズボールに反応し、長友もいち早く着く。ところが寄せに行った時、ガリクスは美しいタッチでボールを長友の背後に流した。その時ファウルで止めるという選択肢もあったのだが、危ない位置でのFK献上を回避したのか長友は体で潰さない選択をとる。しかしこの判断が命運を分けた。ガリクスはまんまと長友の背後を取ってエリア内へ抜け、クロスを放った。

 確かにここは「相手を褒めるべき(長友)」シーンであり、抜かれたところで中央には人数も整っていた。しかしそれでも点に繋がってしまうのが何ともばつの悪いところである。逆サイドでクロスを受けた相手のシュートはハンダノビッチがストップするが、そのこぼれ球を押し込まれてしまった。

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