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連載コラム 10年前

W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール。優勝しても批判、セレソンを左右する“フッチボウ・アルチ”の文化(その3)

シリーズ:W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール text by 田崎健太 photo by Getty Images , Sachiyuki Nishiyama

大統領と対立し、解任されたサルダーニャ監督

 ところが――。

W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール。優勝しても批判、セレソンを左右する“フッチボウ・アルチ”の文化(その3)
2013年12月のW杯組み合わせ抽選会に登場したマリオ・ザガロ元監督【写真:Getty Images】

 当時、ブラジルは軍事政権下にあった。大統領だったメジチが代表選考に口を挟んできたとサルダーニャは告発し、W杯直前に監督を解任された。代わって監督になったのはマリオ・ザガロだった。

「あれほど国民から支持されていた代表監督を交代させたことは、後にも先にもなかった」。カルロス・アルベルトは振り返る。

 70年W杯、ブラジルはイングランド、ルーマニア、チェコスロバキアと同じグループに入った。

「最初のビッグマッチは、2試合目のイングランド戦だった。イングランドは前回大会で優勝しており、ボビー・チャールトン、ゴードン・バンクスなどの選手が揃っていた。あの試合は決勝戦に値した。その試合に、1対0で勝ったことで、ぼくたちは少なくとも決勝には進むことが出来るだろうと思ったんだよ」

 ブラジルはグループリーグを3戦3勝で勝ち抜き、決勝トーナメントに進出した。

 ザガロは、この大会で4-3-3のシステムを採用している。前の3人は、ペレ、トスタン、そしてジャイルジーニョだった。

「監督のザガロは、選手たちに自由を与えた。選手たちはみんな自分で考え、試合の流れを読むことができた。フォワードの2人、ペレもジャイルジーニョも守っていたよ。トスタンだけは余り下がらなかったけれどね」

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