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ビッグゲームでの“経験値”で敗れたPSG。「トップ4入りはまだ早い」土壇場で閉じられたドア

text by 小川由紀子 photo by Getty Images , Kazhito Yamada / Kaz Photography

イブラとカバーニ。試されるストライカーの技量

イブラとカバーニ。試されるストライカーの技量

 そしてもうひとつの敗因はエースの決定力不足。前戦で右もも裏を痛めたイブラヒモビッチに替わってワントップを務めたカバーニは、後半の72分と78分に格好のチャンスを外した。

 イブラなしの試合でゴールしたことはもちろんあるし、本人はあくまでトップが自分の持ち場であると主張しているが、これではイブラという大砲のサイドで器用に動く方が生きるのでは? と思われても仕方がない。

 W杯プレーオフのスウェーデン対ポルトガル戦(2-3)では、イブラが2点、ロナウドが3点と両エースが点をとりあったように、ラストパスを託せるクラッチプレーヤーの技量があるかどうかは、のるかそるかの対戦でこそ試される。

 さらには日頃の激戦慣れ。リーグ・アンで首位をひた走る彼らだが、予算、選手層、クラブの規模、どれをとっても桁違いのスケールのPSGは、極言すれば、学生リーグの中にプロチームが混ざっている、くらい力の差がある中で毎週末の試合をこなしている。

 CL2戦の間にあったリーグ戦、対ランス戦も主力を休ませ、ラビオ、メネーズらを先発させた1.5軍で3-0の楽勝だった。対戦相手の監督たちも「力の差がありすぎる」とPSG戦は負けても仕方がない、というスタンスでいる今のリーグ・アンでは、彼らが真剣勝負できる機会はほとんどないと言っていい。

 上位対決が熾烈なだけでなく、順位表下位のチームでも真っ向勝負を挑み、一戦たりとも気が抜けないプレミアリーグとは、日頃から身を置いている場が違いすぎる。

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