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ブンデス日本人選手、第31節現地採点を振り返る。残留へ貴重な勝利に貢献した酒井宏樹

text by 本田千尋 photo by Ryota Harada

全体のバランスを保ち、気持ちの入ったハノーファーの戦いに貢献

 今現在一戦一戦が大事なものとなるチーム状況もあってか、この試合の酒井は全体のバランスを考えて攻め上がりは自重しているようだった。まずしっかりとしたディフェンスから入り、丁寧にボールを攻撃に繋げようとする。

 ボランチのシュミーデバッハ、右SHのビッテンコートと連携を取りながら、相手の左サイドへの攻撃に対処する。個別には酒井は主にバルネッタと相対した。

 ホセルから左サイドにいるバルネッタにボールが入るや、スライディングでカットする。バルネッタのペナルティエリア内への進入にも、きっちりマークについて対処した。

 バルネッタは53分にピッチを退く。時折1対1に敗れることもあったが、酒井はバルネッタとの闘いに勝利を収めることとなった。そして攻撃面では右CBのマルセロからボールを受けながら、シュミーデバッハ、ビッテンコートに、攻撃へと繋がっていくパスを供給する。

「3」という評価は、ゴールやアシストといった決定的な仕事をした訳ではないが、十全にチームの勝利に貢献したとされてのことなのだろう。サイドバックのポジションとして、地味ではあるが全体のバランスを保つことで、酒井は気持ちの入ったハノーファーの戦いに貢献し続けた。

 ハノーファーは前半だけで3ゴールを挙げることとなった。19分にはパンダーのFKからシュティンドルが頭で合わせて2点目を挙げる。29分にはアンドレアセンからのパスに抜け出したヤコナンがほぼ決定的となる3点目を決めた。

 フランクフルトも13分にバルネッタの右のCKからラニグが右足でダイレクトに蹴り込んでゴールを挙げるが、総じてチームからは攻撃の形を見ることができない。

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