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Win-Winだった岡崎の獲得。抜群のコスパを誇るマインツの躍進に見る、お金がなくても強いチームの秘密

text by 木崎伸也 photo by Getty Images

より専門的な知識と経営センスがスポーツディレクターに求められる時代に

 彼が手がけた代表的な移籍の「購入金額」と「売却金額」をあげると(単位はユーロ)、その商売のうまさがわかるだろう。

 ファンデルファールト5M→14M、デヨング1.5M→18M、ボラルーズ1.5M→11M、ファンブイテン3.8M→10M。選手を見る目もさることながら、選手を売るタイミングが絶妙で、CL出場を果たした2006年夏からの2年半の間に、選手売却で41.2Mユーロもの利益を生み出した。

 だが、その天才的スポーツディレクターが会長と衝突し、2009年6月に去ったことで、クラブは頭脳を失ってしまう。補強した選手が活躍せずに空回りし、2012年は15位という屈辱的な順位でシーズンを終えた。どんな名将が来てもうまくいかないのは、強化の方針が定まってないからだ。

 ドイツの国自体の好景気を受けて、ブンデスリーガにマネーが流れ込み、どのクラブも資金力が増している。使える額が大きいだけにビジョンを伴った計画が求められ、もはや場当たり的な補強やどんぶり勘定では通用しない。スポーツディレクターに、より専門的な知識と経営センスが求められる時代になりつつある。

【了】

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