キャンペーンへの批判。アウベスは反論
サッカーに話題を戻せば、スタジアムにおける観客の差別的行為には、物をピッチに投げつける、バナーを作る、チャントを浴びせかけるといった、何通りもの方法がある。
しかし試合中のサッカー選手にとって、ピッチから離れた場所にいる観客席の人間を特定してその場で直接訴えかけるのは物理的に不可能だ。一部のサッカー選手は、差別の理不尽さに試合中ずっと晒されているのである。
今回の「前もって周到に仕組まれていた」アプローチについて、一部では批判が巻き起こっている。確かに、選手達自身のユーモラスな機転によるものだと信じていたファンにとっては、一企業が仕掛けたキャンペーンだったという裏事情を知ってしまうと、「乗せられた」というようなある種の落胆に近い感情も生まれる。
アウベスは、浴びせられる批判に対して戸惑いを隠せないでいる。
「人種差別に対抗するキャンペーンを批判するのは偽善的だよ。肝心の目的、すなわち我々はみな人類で同じであると認識してもらうことではなく、キャンペーンの背景に目を向けられすぎている。こんなに多くの人々から注目されるとは予想していなかった。他の場面ではこうした批判は起こらない。そういう意味ではとても悲観的に受けとめている」
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