南アフリカサッカー協会・審判部門責任者の不穏な動き
FIFAの極秘調査報告書によれば、W杯南アフリカ大会の開幕直前に行われたエキシビジョンマッチ7試合が、フィクサーの手によって仕組まれた八百長試合だった疑いがある。
だが国際レベルでは、チームへの接触が鍵となる。最もシンプルな手口は、まず「サッカー・エージェンシー」を組織することだ。南アフリカでペルマルが仲間たちと行った方法だ。彼は「フットボール・4U・インターナショナル」という代理店を作った。
そして堂々と南アフリカサッカー協会に行き、すべてのエキシビションで八百長をすることが可能だと話した。そして八百長フィクサーたちがいくつかの代表チームを南アフリカに招待する手はずを整える。ホテルのアレンジから荷物の運搬までを取り仕切り、その上で、自分たちで審判を手配するのだ。
2010年6月5日、フィクサーに雇われた審判たちが会場に入ろうとした時、彼らは当時南アフリカサッカー協会の審判部門責任者だったスティーブン・ゴッダードに呼び止められた。ゴッダードは審判1人の胸を押さえて静止させ、「君たちは観客席で試合を観るんだ。ジャッジはしなくていい」と言った。
ゴッダードは他の試合で明らかに八百長が行われているのを見て、別の審判らを招集していたのだった。その試合では、彼らが笛を吹いた。結局、フィクサーらに雇われていた審判たちは会場を去るように要求された。その晩、ゴッダードは車で帰宅すると、フィクサーたちから計画を妨害するなと殺害予告の脅迫を受けた。ゴッダードは、フィクサーにこう言われた。
「お前は今回、本当に行き過ぎた行為をした。お前を抹殺するからな」。
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