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「クラクラする!」。2連勝のフランス、国内は歓喜ムード一色。レ・ブルーを取り巻く環境に見られる“変化”

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

ポジティブな空気も浮かれた様子はなし

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ディディエ・デシャン監督【写真:Getty Images】

 世代交代してフレッシュな人材に入れ替わったことで「アク」が抜けたのは事実(ナスリを呼ばなかったのはやはり正解だった)。2010年のW杯でキャプテンだったエブラも、当時はツンツンに尖っていたが今ではおとなしいし、現主将のロリスはもとより物静か。そしてその裏でチームを穏やかにまとめているのは、あえて縁の下の力持ち役を買ってでている35歳で最年長の人格者、控えGKのランドローだ。

 移動中の飛行機の中の映像や、スタジアム入り時の様子からも、前のような、神経質な緊張感のない、リラックスムードがうかがえる。

 そのチーム内での友好な空気は、ピッチ上にも表れている。全員が個人技に頼らずにチームプレーに徹し、その上できちんと好結果を出している。ホンジュラス戦も、スイス戦も、それぞれの選手が自分の特性をチームのために捧げることでバラエティに富んだゲームを可能にし、デシャン監督が思い描いたとおりの戦術をピッチ上で実現した結果、3-0、5-2と快勝することができたのだ。

 ここで今までなら、メディアが即「さあ、優勝狙えるぞ!」と発破をかけていたところだが、「ひとまずグループ首位通過に王手をかけた」とあえてトーンを抑えているところも、やはりどこか変わった。

 選手自身も、この圧勝に浮かれてはいない。TVレポーターの話では、試合後のロッカールームでは大騒ぎすることもなく、みんな、さっさと着替えて移動のバスに乗り込んでいったという。しっかり地に足がついているということだ。

 街の様子もこれまでの大会の時とはなんとなく違う。フランス時間で21時にキックオフだったスイス戦の間に、人っ子一人乗っていない、ガランとしたパリの地下鉄の写真をツイッターにアップしていた人がいたが、御丁寧にも車内では、スコアを逐次アナウンスする気の利いたサービスがあったそうだ。

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