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「クラクラする!」。2連勝のフランス、国内は歓喜ムード一色。レ・ブルーを取り巻く環境に見られる“変化”

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

叩くに叩けない現代表の良いムード

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ジルーとバルブエナ【写真:Getty Images】

 商店街で後ろを歩いていた主婦らしき2人組の女性は「サッカー今夜だっけ?」「違うわよ、明日の晩よ」「それじゃ、チキンの丸焼きは明日買うわ」と話していた。サッカー中継を見ながら、チキンの丸焼きを家族で囲む図は、なんとも微笑ましい。

 少し前までは、不評をかっているフランス代表を応援するなど、自分のモラルが疑われてしまう、と敬遠する空気さえあったのに、ずいぶん明るくなったものだ。

 セベラック記者の言葉にあるように、記者たちも、人々も、過去を払拭できるチームの誕生を、待ちこがれていたのだろう。

 悪目立ちしている者や、個性がやたら強烈な者のいない現代表は、正直、叩こうと思っても叩きどころがない。さらにスペクタクルな攻撃を展開して点をとりまくり、(まだ2戦だが)勝利を重ねている。

 エースと呼ばれ続けたベンゼマも、PKは決め損ねたが、1ゴール2アシストと、3得点に絡んだホンジュラス戦と並ぶ活躍で、その称号に恥じないパフォーマンスを見せている。

 長い間海底トンネルにいたレ・ブルーは、ブラン監督就任で一瞬地上に頭を出したかに見えたが、またすぐに地下に戻ってしまった。しかし今度こそ本当に、明るい場所に出て来られたのかもしれない。

 試合翌日の紙面には、ジルーの背中におぶさったバルブエナの写真が並んだ。フランスが優勝した98年、彼らの勝利のジンクスは、GKバルテスのはげ頭にブランがキスすることだった。

 今大会のラッキージェスチャーは、このおんぶポーズか!? そして、フランスが頂点を極めた98年W杯、2000年のユ―ロでチームキャプテンだったディディエ・デシャンは、間違いなくなにか特別な力を持っている。

 あまり遠くを見すぎることなく歩を進めているレ・ブルー。次の目標は、エクアドル戦に勝ってすでに王手をかけているグループ首位の座を確保することだ。

【了】

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