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「バルサとスペインにありがとう」。バルサ黄金時代が生み出した栄光。傷に蓋したメディアの責任も合わせて当然の帰結

text by 山本美智子 photo by Getty Images

ビジャ、トーレスの起用法に疑問符。“立役者”ビジャはラストマッチの可能性も

「バルサとスペインにありがとう」。バルサ黄金時代が生み出した栄光。傷に蓋したメディアの責任も合わせて当然の帰結
出場機会の恵まれなかったトーレスとビジャがスタメン出場【写真:Getty Images】

 既に敗退が決まっていたスペインは、当初の予想どおり100試合目を迎えたイニエスタ以外、それまで出場機会の恵まれなかったトーレスとビジャがスタメン出場し、今回の大会初のプレーからのゴールを決めた。

 さらに、やはりピッチに立つことのなかったマタがビジャに代わって入り追加点。デル・ボスケにとっての“ベンチ組”が今大会、唯一の得点選手になったのは皮肉だった。

 もちろん、この試合にどの選手を配したところで、デル・ボスケ監督の采配が素晴らしかったとほめるメディアは皆無だったのは明らかだ。

 そして、最初の2試合でトーレスや、とりわけ代表史上最多得点者であるビジャに機会を与えず、ジエゴ・コスタに固執したのは本当に正しかったのだろうか、と改めて思わされる試合結果となった。それは、マタの起用にしても同様だった。

 試合の途中で交代を命じられたダビド・ビジャは、不満を隠すことなくベンチに戻り、その後しばらく顔をあげることなくうつむいていたが「泣きながら交代した」と国内メディアは報じた。

 来季からメルボルン・シティでプレーすることが決まっているダビド・ビジャは、W杯が始まる前に「代表ユニフォームに袖を通すのは最後になるだろう」と話していた。

 実際、欧州よりレベルの低いクラブでプレーすることに決めた32才のスペインの7番が、それを理由に自分はもう代表に呼ばれることはないだろうと考えるのも不思議ではない。

 それでも、試合後にデル・ボスケが「これが彼の最後の試合になるかもしれないとは知らなかった。彼の怒りは理解できる。中盤に動きを与えたく、マタを入れたかったので、ビジャと変えることに決めた」と答えたのには驚かされた。

 ビジャは、ラウール・コンプレックス症候群を抱えていたスペイン代表を救い、周囲からの重圧に耐えながらも、スペインの「7番」を背負う勇気を持ち、実際にこの栄光のスペインを担ってきた前線の立ち役者だったのだ。

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