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王国を悩ませる“コンフェデの呪い”。不調のセレソン、問われる指揮官の手腕とスタメンの刷新

今日、コロンビア戦を迎えるブラジル代表。守備の要、ルイス・グスタボが出場停止で選手の入れ替えが必要になる。未だ本調子ではないセレソンだが、どのような策をとるべきなのか。過去の大会では大胆に選手を入れ替えてきたが…

text by 下薗昌記 photo by Getty Images

コンフェデ優勝で世論の期待も高まる

 ブラジル代表が「コンフェデの呪い」を断ち切ろうと懸命だ。

王国を悩ませる“コンフェデの呪い”。不調のセレソン、問われる指揮官の手腕とスタメンの刷新
ルイス・フェリペ・スコラーリ監督【写真:Getty Images】

 昨年のコンフェデレーションズカップで4度目の優勝を勝ち取ったセレソンではあるが、コンフェデの優勝は不吉な前兆であり続けた。1997年、2005年、そして2009年と圧倒的な戦いでW杯の前哨戦を征しておきながら、翌年の本大会はいずれも無惨に散っている。ブラジルに限っては決して偶然の現象ではない。

(1)チーム作りのピークがW杯前年に来てしまったこと、(2)コンフェデで完成系を見たチームは相手にしっかりと分析されてしまうことなどが考えられるが、今回のブラジル代表に関して言うならば、更にマイナス材料となるのがコンフェデを征したことによる安易な世論の期待感である。

 ブラジル恒例のセレソンに関する世論調査によるとスコラーリ監督就任が就任したばかりの昨年1月の段階で「ブラジルがW杯を征する」と答えたのはわずかに67%。それがコンフェデの優勝もあって、今年5月に実施した調査では実に78%が優勝すると答えているのだ。

 ラテン民族の気質だろうか。世論調査で下馬評が高かったセレソンは大抵の場合、本大会で待つ落とし穴にはまり、逆に大会前に不評のチームほど、好結果を残すのだ。特に昨年のコンフェデ決勝で前回覇者のスペインに3対0で勝利したことは、本大会への安易な期待感を高めると当時から懸念していた識者もいた。

 さて、「コンフェデの呪い」に挑むスコラーリ一家ではあるが、過去3度の王者にはなかった特徴を持っている。

 開幕戦のクロアチア戦では昨年のコンフェデ優勝時の先発と全く同じ顔ぶれの11人がピッチに立ったが、これはブラジル代表史上初めてのことだった。

 過去3回のコンフェデ王者でも基本的なチームベースは保ってはいたものの、負傷や新戦力の台頭、布陣の変更などで本大会にはいずれも異なる顔ぶれを送り込んできた。

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