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アジア 10年前

豪州で戦う2人の侍。“日の出づる国”マケドニアにルーツを持つクラブで出会った選手とコーチ。ほとばしるような情熱を共有

text by 植松久隆 photo by Yasuhiro Koga

主力として活躍する村山拓也。ロックデール在籍3季目を数える

豪州で戦う2人の侍。“日の出づる国”マケドニアにルーツを持つクラブで出会った選手とコーチ。ほとばしるような情熱を共有
村山拓也の活躍を伝えるウェブ記事(NSWPLのウェブサイトから)

 ロックデールで、“タク”を知らない人はいないと言われる程のクラブの顔として、チームの主力を3季に渡って張り続けるのが、村山拓也(26)。関西高校サッカー界の名門・奈良育英高から早稲田大ア式蹴球部に進んだ村山の輝かしいキャリアに転機が訪れたのは、大学を卒業した2011年。

 国内のクラブから自分が願ったオファーが来ず、プロ志望の進路に悩んだ時、早稲田OBをメインに運営されるクラブチーム・早稲田ユナイテッドを指揮する今矢直城の話を聞く機会を得た。

 かつて、Aリーグでプレー、自らも10歳から豪州で育った今矢の語る豪州の地で「自分を試してみよう」と決意。単身、プロ契約を目指して海を渡ったのが22歳の時だった。

 渡豪直後の英語力は限られていたが、日本仕込みのスキルをいかんなく発揮。セルビア系の名門でシドニー西郊にあるボニリグ・ホワイト・イーグルス入団のチャンスを実力で掴む。

 そのボニリグで、すぐにチームの主力として大活躍を見せた村山が、シーズン終了後に次なる挑戦の舞台として選んだのがロックデールだった。

「残留も含め多くのオファーがあった中で、良く考えてロックデールを選びました。(その理由は?)ロックデールが一番必要としてくれていると感じたので。ここ最近は強豪と認識されていますが、当時(3年前)のロックデールはリーグでも下位の常連で、本当に目立った特長も強さも無かった。

 だから、そんなチームを勝てるチームにするのに貢献できれば、(同じリーグの)より大きなチームにいるよりも、注目されやすいのではという考えもありました」と当時の移籍の経緯を、村山はそう振り返る。

 ロックデール移籍1年目から大車輪の活躍を見せた村山を、クラブは全力で慰留に努めた。そんなクラブの思いを意気に感じ、チームを強くする過程に意義を感じていたことも手伝って、村山はチームの残留要請に2度までも応じることになった。結果、現行の今季で彼のロックデール在籍も3季目を数える。

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