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ドイツ5部ヴッパータールSV、小さなモノレールの街にも息づくフットボール。街の人々は時間を重ねてクラブに愛着

ドイツ5部ヴッパータールSVがレバークーゼンとテストマッチを行った。ヴッパータールの人々は、欧州CL常連クラブとの対戦であっても穏やかに観戦。一方的な展開でも暖かく見守った。

text by 本田千尋 photo by Getty Images , Chihiro Honda

世界最古の懸垂式モノレールがある街。70年代には1部の経験も

ドイツ5部ヴッパータールSV、小さなモノレールの街にも息づくフットボール。街の人々は時間を重ねてクラブに愛着
世界最古の懸垂式モノレール、ヴッパータール空中鉄道【写真:本田千尋】

 モノレールに乗ると、赤いユニフォームが目についた。2014年8月5日、ヴッパータールSVは、バイヤー・レバークーゼンとテストマッチを行なう。

 ヴッパータールSVは、ドイツ西部ヴッパータールにあるクラブチームだ。ヴッパータールは、ノルトライン・ヴェストヴァーレン州の州都デュッセルドルフから東に30キロほど行ったところにある、小さな山間の田舎街である。ドイツの中でも最も古い工業都市として知られる。

 そしてこの穏やかな田舎街を世に知らしめているのが、世界最古の懸垂式モノレール、ヴッパータール空中鉄道だ。ドイツの映画監督ヴィム・ヴェンダースが、ヴッパータールの劇団を題材とした作品で映像表現にも用いている。

 今日では市民にとって欠かせない日常の足となっているモノレールは、1901年に最初の区間であるkluse駅からZoo駅が開通した。

 Zoo駅は、現在ではZoo / Stadion(動物園/スタジアム)駅と名前を変えている。この日はヴッパータール中央駅からモノレールに乗ると、レバークーゼンの赤いユニフォームが目立っていた。

 Zoo / Stadion駅を降りれば、ヴッパータールSVの本拠地、シュタディオン・アム・ツォーはすぐそこにある。スタジアム正面には昔日の面影が残るが、メインスタンドは改修されて近代的で快適だ。

 かつてヴッパータールSVにも古き良き時代があった。1972年から75年にかけては、1部ブンデスリーガを戦う。しかし75年以降は2部から4部の間を行ったり来たりすることとなった。そして現在、ドイツ5部オーバーリーガ・ニーダーラインに所属する。

 オーバーリーガ・ニーダーラインはノルトライン・ヴェストファーレン州の西部を区域とするリーグで、18チームで構成される。ドイツ3部MSVデュイスブルクのセカンドチームや、ドイツ4部RWオーバーハウゼンのU-23チームなどが所属しており、ちょっとした育成の裾野のような側面も持っている。

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