同点ゴールに湧くスタンド。自分たちのクラブに愛着
そして今回のテストマッチでレバークーゼンは昨季に続くトリプルボランチではなく、ロルフェスとカストロのダブルボランチで臨んでおり、またシャルケより加入したCBパパドプロスのデビュー戦でもあるなど、連係面で守備陣は不安定な姿を見せていた。
ディフェンスラインの繋ぎの場面では、SBのところで度々ボールを失ってしまう。ヴッパータールSVはその一瞬の隙を突いた。
28分、左サイドからの折り返しは、レバークーゼンの4バックの前を奇麗に流れて、中央でダヴィデ・レイカウフが鮮やかに流し込んだ。1-1。屋台のポップコーンが弾けるように、スタンドは一瞬沸いた。
2014年8月6日付のデュッセルドルフ・エクスプレス紙には、「パパのデビューでバイヤーが3-1で勝利する」という見出しで試合を伝える小さな記事が掲載されている。
デュッセルドルフ・エクスプレス紙:…ハーフタイムの後に、レバークーゼンのユリアン・ブラントが追加点を挙げてリードを奪う(47分)。試合終了の5分前には、ヴッパータールのキャプテン、アレクサンダー・タムがオウン・ゴールを喫して、最終スコアは1-3である。
ヴッパータールSVが、70年代前半のような陽の目を浴びる日はもう来ないだろう。小さな山間の田舎街のクラブチームは、強豪とテストマッチをすることで、ようやく新聞の片隅に小さな記事が載る。
ブンデスリーガは手の届かないところまで行ってしまった。それでも、メインスタンドを埋めた人たちに不幸せなところはない。時間を積み重ねてきた自分たちのクラブに愛着を抱いている。
古くて小さなモノレールの街にも、フットボールは息づいている。
【了】