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柿谷、初スタメン&フル出場も今季初黒星。無得点も同僚は柿谷に注目。“パスを出してもらう”ハードルはクリア

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

今後、重要な存在になるために必要なこととは?

 後半は27分に右からのクロスを受けた柿谷が反転してシュートを放つもGKがストップ。柿谷がこの試合で最大のビッグチャンスを迎えながら決め切れず、今季初の黒星となった。

 その柿谷は、約1週間で3試合を戦う過密日程に加えてマルコ・シュトレラーの体調不良が重なって先発のチャンスを得た。さらに、前節の活躍もあってパウロ・ソウザ監督やファンの期待も高かったはず。

 その証拠にチームの攻撃は柿谷を生かすための形を続けていた。それだけに得点を奪えなかったことは「期待に応えられなかった」と言える。今後、チームにおいて重要な選手となるためには、この試合のような展開でチームを救う活躍をすることが不可欠だ。

 しかし、見方を変えれば得点を決める1つ前の段階までは来ている。チームのお膳立てを生かすことが出来なかったものの、お膳立てをしてもらえる立場にはいるということ。チームメイトたちは柿谷の特徴を理解することに勉め、理解し始めているのだ。

 言葉の壁がある海外移籍では、“パスを出してもらう”というのが最初に立ちはだかるハードルとなるが、柿谷は現状で既にここをクリアしている。これは加入から1ヵ月で言葉も習得中という段階では上々の滑り出しと言えるだろう。

 とは言え、これはまだスタートラインに立ったという状況だ。チューリッヒ戦の活躍でバーゼルでのポジション争いを始めることが出来たということ。これからの取り組みがバーゼルのみならず欧州での将来を決めるものとなるだろう。

 今後、練習と試合を重ねていくことでチームメイトとの連係は深まっていくはず。連係が深まれば、パスが欲しいタイミングを理解してもらえ、パスの出し手が出したいタイミングを理解出来る。そして、パスの出し手と受け手がイメージを共有出来れば得点につながり、信頼関係も強くなる。

 柿谷がサイドに開いてチャンスメイクをして、DFラインの裏を突いてゴールを狙うという形が完成すれば、チームにとって最も重要な攻撃の形となるはずだ。そして、それを何としても実現させてリーグ戦はもちろん、チャンピオンズリーグの舞台でも躍動する姿を見せて欲しい。

【了】

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