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JFAに求められる、将来構想の練り直し

text by 藤江直人 photo by Asuka Kudo / Football Channel , editor

いまこそ考え直す必要がある『JFA2005年宣言』

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右から大仁邦彌JFA会長、ハビエル・アギーレ日本代表新監督、原博実専務理事兼技術委員長【写真:工藤明日香 / フットボールチャンネル】

 代表チームとはまったく別の次元で、日本協会はある問題に直面していると言っていいでしょう。いまから9年前の2005年に、日本協会は『JFA2005年宣言』を発表しています。その中で「JFAの約束2015」として、2015年に達成されるべき2つの目標を掲げています。

・サッカーを愛する仲間=サッカーファミリーが500万人になる。
・日本代表チームは、世界でトップ10のチームとなる。

 2013年度末の集計によれば、日本協会への登録者数は145万人あまりに留まっています。最新のFIFAランキングでは、日本代表は44位です。2015年は来年ですけれども、サッカーファミリーはサポーターを含めれば500万人を達成しているのかもしれませんが、FIFAランキングの10位以内に入るのは不可能と言わざるを得ません。
 
 大仁邦彌会長の任期は今期の2年で、つまり2016年7月に切れます。大仁会長の任期中に、達成することがほぼ不可能となった現実をどのように受け止め、対応していくのか。日本協会全体として十分に議論しなければいけない問題でありながら、あまり手がつけられていないのではという気がします。

 すみませんでしたと頭を下げて終わらせてしまうのか。あるいは、あれは私が宣言したのではありませんと言ってしまうのか。宣言ならばまだいいんですけれども、2つの目標は約束となっています。日本協会の組織の中に、これらを実現させるためのプロジェクトも発足させているわけです。約束したことを達成できないとなれば、現実とどのように向き合い、修正していくべきなのかを喫緊に考えなければならない。

 かつての日本協会は非常に小さく、お金もない組織でした。給料が支払われている専属の職員は2人ほどで、役員もみんな手弁当で日本サッカー界をどのように発展させていくべきなのか、日本代表をどのように強くしていけばいいのかを毎日のように話し合っていました。日本協会といっても御茶ノ水の3坪か4坪の小さな一室だったので、足を運べば必ず役員の誰かと顔を合わせたわけです。

 本当にお金がなかったから、代表チームの遠征などで発生する航空運賃などはいつも1年遅れで支払っていました。そうした状況を救い続けてくれたのが西鉄旅行であり、アディダスでした。

 西鉄旅行はチーム付きのマネージャー兼通訳として新入社員をあてがってくれたし、アディダスは選手のサイズに合ったスパイクやユニフォーム、トレーニングウエアなどの一式を遠征先に揃えておいてくれました。

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