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「モイーズ以下」。新生マンU、開幕5戦1勝2分け2敗で評価急落。ファン・ハールの“余命”は?

text by 山中忍 photo by Getty Images

「唯一の絶対的スタメン」はルーニーではなくファン・ペルシー?

 ではファン・ハールは早期解雇とは無縁なのかと言えば、そうではない。6年契約で就任したはずのモイーズを昨季終盤に切り、後任に大物監督を迎えて大型補強に打って出たユナイテッドは、もはや伝統の「長期展望」でシティやチェルシーと一線を画していたクラブではない。

 CL復帰を意味するトップ4返り咲きを「金」で買おうとしている今風のプレミア強豪だ。いかにプレミア随一の経営規模を誇るとはいえ、2年連続でCLという欧州の「ドル箱」を逃せば懐に響く。大物即戦力の獲得も難しくなる。フロント陣営の焦りは増す一方だ。

 加えて、チーム内に不協和音が生まれる危険性もある。ファン・ハールは、新キャプテンに使命したウェイン・ルーニーを「唯一の絶対的スタメン」と評しているが、実際にはオランダ代表でも頼りにしたロビン・ファン・ペルシーが絶対的な存在のようだ。

 新FWのラダメル・ファルカオが初先発したレスター戦で、指揮官はルーニーをダイアモンド型に配した中盤の頂点で起用した。「FWとしてはファルカオが上。MFとしてやってもらうしかない」との理由。その煽りで、開幕4試合で2得点のフアン・マタがベンチに降格してもいる。

 一方、2トップの1角を占め続けるファン・ペルシーは、W杯後の出遅れもあって開幕4戦で1得点のみ。レスター戦では先制点を上げているが、実際には完璧なクロスを供給したファルカオの働きが大きい。そのゴールの他にはファン・ペルシーによる貢献はなかったと言ってもよい。

「実力主義」のファン・ハールだが、現在の調子から判断すれば、前線でポジションを譲るべきはルーニーでもマタでもなく、ファン・ペルシーであって然るべきだったと思われる。

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