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日本代表 10年前

“極めてフェア”な0-4。ブラジル相手にイエローもなし。対応力、技術、アジリティで完敗した日本

text by 西部謙司 photo by Getty Images

相次いでボールを奪われピンチ。攻守に力の差を埋められず

 ピッチコンディションは劣悪。序盤はどちらもミスが目立った。しかし、ブラジルは10分を過ぎることから対応しはじめる。足裏を使ったコントロール、ごく短い距離でのパス交換など、イレギュラーの影響を抑える工夫があった。

 先制したブラジルはすぐに省エネモードに。いつもなら後方でパスを回し続けてゲームを眠らせるところだが、ピッチが悪くて上手くいかない。このブラジル先制後から前半終了までが、日本にとって唯一可能性のある時間帯だった。ブラジルが中途半端に攻めるので、カウンターのチャンスがあった。

 ただ、日本には攻撃のコンビネーションがない。FWに縦パスが入ってもそこから先がなかった。W杯のメンバーが揃っていれば、あるいはこんなフィールドでもザッケローニ前監督時代のコンビネーションが使えたかもしれないが、メンバーも違えば、そういう準備もしていないのだから、シンプルなクロスボールしか得点のにおいはしてこなかった。

 後半は柴崎岳、本田圭祐、塩谷司など、相次いでボールを奪われてピンチが続く。かわせるつもりが奪われる。ブラジルの瞬間的な速さに対応できていなかった。

 アジリティは本来、日本の長所である。しかし、今回は予測や読みも含めてブラジルが上手だった。

 日本は自分たちより速く動ける相手に対して順応できず。速さで対抗できたのは岡崎慎司と武藤嘉紀ぐらい。攻守においてブラジルとの力の差を消化できていなかった。差があるのは仕方ないとして、そこを埋める調整能力が乏しかった。

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