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Jリーグ 10年前

「正直、熱くなった」。G大阪・今野が見せた意外な一面、鬼気迫るボール奪取で中盤を支配。鹿島との上位対決制す

10月5日に行われたJ1第27節、互いに好調なチーム同士が首位に食らいつく上で負けられない試合を迎えた。鹿島アントラーズは3連続完封勝利中、対するガンバ大阪も5連勝と波に乗る。降りしきる雨の中、試合は点の取り合いとなった。

text by 青木務 photo by Getty Images

ガンバは8年ぶりの6連勝

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珍しく熱くなったという今野泰幸【写真:Getty Images】

「本当にいいゲームができた」と宇佐美貴史が振り返れば、「6連勝はなかなかできることではないので、自信を持っていい」と遠藤保仁も手応えを口にした。ガンバ大阪がアウェイで鹿島アントラーズを逆転で下し、順位も2位に上げた。

 先制点を許すなど2度のリードを奪われたガンバだったが、攻撃には迫力があった。パトリックは鹿島のDF昌子源に完勝と言っていいプレーを見せ、チームの2点目を決めた。

宇佐美も高い技術と突破力で、パトリックのゴールをアシストした。そして同点で迎えた後半アディショナルタイム、途中出場のリンスが決勝点を奪い、劇的な逆転勝利を飾った。

 8年ぶりとなる6連勝。ガンバの勢いと底力が際立っているが、そんなチームを支えるのが今野泰幸だ。ボランチの位置で激しいファイトを見せた。

 鹿島のダブルボランチは小笠原満男と柴崎岳、ガンバは遠藤保仁と今野が中盤の底でコンビを組んだ。攻守において重要な役割を担うこのポジションで最も輝いたのは、ボール奪取の達人だった。注目の上位決戦で、今野が本領を存分に発揮した。

 相手に睨みをきかせ、鋭い出足でボールをかっさらう。リーグ再開後、ブロックを構築して相手を迎え撃つスタイルがはまりつつあるガンバだが、最終ラインの前で今野が立ちはだかることで、チームのディフェンスは一層強固なものとなっている。

 ボールを奪うことにおいて、今野はリーグ屈指の実力者だ。それはこの鹿島戦でも変わらなかったのだが、珍しい一面も見られた。いつもは冷静に状況を見極めながらチェックに行くが、この日は違った。球際の激しさ、アプローチのスピードに荒々しさがあった。

「正直、熱くなった」。今野は試合後、笑顔でこう話した。

「(小笠原)満男さんも結構ガツガツ来るし、(柴崎)岳ちゃんもいて、熱くさせられるというか」

 鹿島のダブルボランチとの攻防が続く中で、自身の血が騒ぐのがわかった。目の前の相手に勝つという気持ちが、プレーに色濃く表れていた。

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