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田中順也を指揮する「男前」監督、マルコ・シウバ。モウリーニョ、ビラス・ボアスに継ぐポルトガルの“若き名将”

text by 齋藤祐太 photo by Getty Images

一時は懐疑的な目を向けられるも、瞬く間に名誉挽回

 翌2013-14シーズンには、前年度の偉業を超えるリーグ4位を達成し、監督としてのキャリアわずか3年の間に、万年2部の弱小エストリルを、ポルトガルの3強に肉薄するまでのチームに仕立て上げたのだ。

 その後、監督探しに奔走していたスポルティングが、この新進気鋭の若手監督のヘッドハンティングを目論んだのは言うまでもない。

 こうして「エストリルの英雄」は「スポルティング復権のキーマン」へと転生した。

 自身初となるビッグクラブの指揮を任されたマルコ・シウバだったが、すぐにエストリルの快進撃を再現することができたかと問われれば、そうはならなかった。

 リーグ開幕戦となったアカデミカ戦では、終了間際に同点弾を決められ引き分けに終わった。その後、公式戦5試合を戦って、1勝4引き分けの低空飛行。ポルトガルリーグの強豪クラブにとって、引き分けの勝ち点1は、負けの勝ち点0に等しいと言っても過言ではなく、その成績は致命的であった。

 先制しても追いつかれるゲーム展開が多く、決定力不足と守備面での打たれ弱さが露呈した。

 スタメンの再編成は急務だった。マルコ・シウバは動いた。ワントップのモンテロをチームのゴール欠乏症の原因と見たマルコは、移籍問題に揺れていたアルジェリア代表スリマニがチームに復帰すると、即起用。

 昨年のベストイレブンであるジェフェルソンが負傷離脱した左サイドバックには、今季よりトップチームに昇格したジョナタン・シウバを抜擢した。ジェフェルソン復帰後も起用し続けている。

 チームの中心であるセントラルミッドフィルダーのアドリエンの相棒には、ジョアン・マリオという若手を抜擢。エストリル時代にも、同ポジションのエバンドロ(現ポルト)が二桁得点を記録したように、マルコ・シウバがセントラルの選手にかける要求は大きい。

 しかし、それに応えたジョアン・マリオは、フェルナンド・サントス新代表監督の初陣でポルトガル代表デビューを飾るまでに成長した。

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