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日本代表 9年前

前代未聞の合宿離脱。アギーレが出席するFIFA“お墨付き”サッカー殿堂表彰式とは? かつてジダンは欠席…

text by 池田敏明 photo by Getty Images

結果の出ていない中での離脱。視線はより厳しく

前代未聞の合宿離脱。アギーレが出席するFIFA“お墨付き”サッカー殿堂表彰式とは? かつてジダンは欠席…
不振の責任を現時点でアギーレ一人に押し付けるのは正しくない【写真:Getty Images】

 表彰式への出席は義務付けられているわけではなく、過去にはジネディーヌ・ジダンなどがVTRによるメッセージで参加するスタイルを取った。アギーレもその気になれば同様の対応ができたはずだが、無下な対応ができなかった事情もある。

 彼は1998年から2001年までパチューカの指揮官を務めた経験があり、1999年にはクラブにプロ1部リーグ初優勝の栄誉をもたらしている。そのような関係を考えると、グルーポ・パチューカ側から「ぜひ出席してほしい」と要請されたのは想像に難くなく、また世界中のサッカー関係者や個人スポンサーとのつながりなども考慮して、出席することになったのだろう。

 アギーレの行動が批判されるもう一つの理由として、当然ながら日本代表の成績も挙げられる。好成績を残していれば「殿堂入りの栄誉で母国に凱旋」、「選手を全面的に信頼」といった論調になっただろうが、4試合を戦って1勝1分け2敗という成績では、確かに批判するなというほうが無理だ。

 ただ、不振の責任を現時点でアギーレ一人に押し付けるのは正しくない。むしろ「アギーレと日本人の組み合わせが機能していない」と考えるのが妥当だ。

 モチベーターとして高い評価を得ており、ストレートな言葉で選手の闘志を喚起させるタイプのアギーレに、言葉の通じない選手たちを指導させて早急な結果を求めること自体にそもそも無理がある。そのようなキャラクターの人物に指揮権を委ねた以上、機能するまである程度、辛抱強く見守る必要がある。

 いずれにしても、表彰式に出席するからには殿堂入りの名に恥じない指導をしてもらわなければならない。帰国後のわずかな時間でチーム状態を完璧に把握し、適切な用兵術でホンジュラス戦、オーストラリア戦に挑んで結果を残してくれれば、現在の批判論調は瞬く間に消え去るだろう。

 それが実践できなかった場合――アギーレを批判するのは、それからでも遅くはない。

【了】

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