個人的理由で帰国へ。前代未聞の事態に批判噴出
11月の国際Aマッチウイークで、日本はホンジュラス、オーストラリアと親善試合を行う。年内最後の代表戦であり、1月のアジア杯に向けての大切な最終テストの場だ。
既に23人のメンバーが発表され、10日から愛知県内での合宿をスタートさせているが、そこにチームの長であるハビエル・アギーレ監督の姿はない。メキシコ人指揮官はこのほどサッカー殿堂入りが決まり、母国メキシコで11日に開催される表彰式に出席するため、合宿を一時離脱しているのだ。
合宿はスチュアート・ゲリングコーチが代理で指揮を執っており、アギーレはホンジュラス戦前日となる13日に再来日する予定となっているが、メンバーを見極めるべき立場にある代表監督が、個人的理由によって合宿を離脱するという前代未聞の事態に批判が噴出している。
批判が巻き起こっている理由の一つとして、「サッカー殿堂の表彰式」なるイベントの認知度の低さが挙げられるだろう。仮にこれが「バロンドール授賞式への出席のため」だったら、周囲はどんな反応をするだろうか。
バロンドールがFIFAの管轄下にあるため、受賞式と国際親善試合の日程が絶対に重ならないことは承知している。これはあくまで「仮に」の話だ。仮にアギーレが最優秀監督賞の候補になり、合宿を一時離脱して受賞式に出席したとすれば、ここまでの批判にさらされることはなかっただろう。
そして最優秀監督に選出され、トロフィーを持って帰ろうものならアギーレのキャリアに箔が付き、周囲も諸手を挙げて彼を称賛するはず。バロンドールが持つ知名度と権威がそうさせるのだ。
そこで、今回のアギーレの行動を直情的に批判する前に、まずは「サッカー殿堂」が何たるかを解き明かしていく必要がある。