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“出来過ぎ”でない躍進。ポゼッション&プレッシング。サウサンプトン流を昇華させた新監督と新戦力

サウサンプトンが躍進している。昨季の監督と主力を引き抜かれ、開幕前には降格候補に挙げられたものの、クーマン監督を筆頭に新戦力が活躍。明確なビジョンを持ったフロントの功績は大きい。

text by 山中忍 photo by Getty Images

監督と主力流出も後任人事に成功

“出来過ぎ”でない躍進。ポゼッション&プレッシング。サウサンプトン流を昇華させた新監督と新戦力
ロナルド・クーマン監督は、後方から組み立て、失ったボールは果敢に奪い返して攻めるスタイルを好む【写真:Getty Images】

 プレミアリーグ3位で12月を迎えたサウサンプトンが、去る3日の14節アーセナル戦(0-1)で今季初の2連敗を喫した。

 黒星はまだ4度目だが、その3日前のマンチェスター・シティ戦(0-3)から8日のマンチェスター・ユナイテッド戦まで、真価が問われる強豪3連戦での連敗スタートだけに、巷では「やはり欧州進出は高嶺の花」と言われた。

 たしかに、トップ4での開幕4ヶ月は「予想外」だった。昨季8位の成功の代償として、監督のマウリシオ・ポチェッティーノと主力選手4名をヘッドハントされたサウサンプトンには、開幕前に降格を予想する声さえあった。

 だが、今季の好調は「出来過ぎ」ではない。「昨季より強くなっている気がする」とは、右SBナサニエル・クラインのコメントだが、これは強豪に引き抜かれなかった者の負け惜しみとは思えない。

 ポチェッティーノ体制下で、漠然とした攻撃的スタイルに「ポゼッション」と「プレッシング」という明確なテーマが加わっていたチームには、同路線を志向するロナルド・クーマンが新監督に迎えられた。

 クーマンは、後方から組み立て、失ったボールは果敢に奪い返して攻めるスタイルを好む。この後任人事の成功は、チームの「在り方」に明確なビジョンを持つフロントの功績。新戦力の人選にも同じ事が言える。いずれもチームに適した「使える」選手だ。

 チャンスメイクの主担当だったアダム・ララナの代わりには、リーグ戦14試合で6アシストのドゥシャン・タディッチを獲得した。

 リッキー・ランバートに代わる得点源は、開幕2ヶ月間で6得点の好スタートを切ったグラチアーノ・ペッレ。両者が計3ゴール3アシストをこなした10月のサンダーランド戦では8点差の大勝が実現した。

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