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ドルトムントよ、プライドを捨てよ! 現地記者が見る、危機脱出のために必要な“死に物狂い”の必死さ

text by 本田千尋 photo by Getty Images

完封できない現状。みすみす逃す連勝のチャンス

 ドルトムントの現状を考える上で少し気になるのは、11月9日ボルシアMG戦の次の22日パダーボルン戦、12月5日ホッフェンハイム戦の次の9日CLアンデルレヒト戦と、ホームで1-0のスコアで必死に勝利をもぎ取った後の試合で、先制しながらも追いつかれてみすみす勝利を逃している、ということである。

 つまり連勝の機会を逸しているということだが、普段であればそこまで騒がれることもないホームでの1-0の勝利が、あたかも神による救済のようになることを考えれば、苦境に喘ぐドルトムントにとって、連勝がどれだけの意味を持つのかは想像に難くない。

 もちろん連勝がそのまま万薬となるとは限らないが、不振の中でも必死でもぎ取った1-0の勝利の後で、続けて勝つことと、勝ち切れないこと、どちらが良薬となるだろうか。科学的ではないかもしれないが、サッカーに波というものは確かに存在する。波に乗る機会をドルトムントは逃し続けている。

 パダーボルンにせよ、アンデルレヒトにせよ、本来のドルトムントであれば、決してシャットアウト出来ない相手ではない。パダーボルンは健闘こそしているが、2部からの昇格チームだ。アンデルレヒトは10月のブリュッセルでは、3-0で破っている。

 出来ない相手ではないはずなのだが、失点を最小限に抑えて勝利に持ち込めない。15日付のキッカー紙は「チームと指揮官は解決策を見つけることが出来ず、ボルシア・ドルトムントは低迷したままである」と記した。

 またここで思い起こされるのは、11月1日に行われたバイエルンとの決戦に臨む前にケールが、10月30日付のレヴィアシュポルト紙に残した「我々はボルシア・ドルトムントだ」という言葉である。

 チームは不調に喘いでいるが、我々は誇りを掛けて闘う。ベテランのケールはボルシア・ドルトムントの矜持を示した。確かにドルトムントは2008年にクロップが監督に就任して以来、11年には再びCLの舞台に戻り、13年には決勝にまで進出した。現在ホームには毎試合8万人の観衆が詰め掛けて、ドイツの強豪としてヨーロッパに名を馳せている。

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