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ハーフナーという悲劇――。今季スペイン挑戦も構想外、日本人FWは何が足りなかったのか?

text by 山本美智子 photo by Getty Images

「非日本人的な」態度が求められるリーガ

 カンプ・ノウで0-5と完敗したジュキッチは「私は自分自身を恥ずかしく思う」と失点の多かった試合を酷評し、「私達は2部に行く(降格する)が、私は2部に行くにしても、“タマ”のある選手のみを連れて行く。私がいる限りピッチに立つのは“タマ”がある選手だけだ」と力説した。

 この言葉どおり解釈すれば、ハーフナーが起用されないのは、まさにジュキッチにとっては「やる気が感じられないから」ということになるのだろう。

 まさか、ハーフナーに対してもこの手の批判が出てくるとは正直、思っていなかったのだが、実は“気迫に足りない”“やる気が伝わらない”“何を考えているのかわからない”というのは、日本人選手を率いる様々な監督陣から往々にしてきかれる不満なのだ。

 かつてこんなことがあった。舞台は2部Bのチーム、ラシン・デ・フェロルだ。もうずいぶん前のことになるが、キング・カズこと三浦知良が10日間ほどトレーニングに参加した。

 Jリーグを終え、冬期休暇の時期であり、空気を変えて練習したいとやってきたカズが、控え組に入って行なったミニゲームで、練習に参加したばかりという状況にもかかわらず、「審判! これ、ペナルティでしょ! ペナルティ!」と楽しそうに声をあげていた姿が今でも忘れられない。

 練習を通して監督へのやる気をアピールする、と字面にすると薄っぺらいが、カズの態度に周囲の目がそして対応が一瞬にして変わったのを目の当たりにした。こういった「非日本人的な」態度がリーガでは求められているのだろうと実感した。

 もとい、日本人選手がリーガで活躍できない理由は、既に数多く指摘されてきた。いわく、Jリーグが終わる時期が冬の移籍と重なるから、体の準備が万端ではない、ことばの壁、文化の壁がある、適応に時間がかかる、クラブと相性が良くなかった、などがあげられてきた。

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