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アジアでの悔しさとカナダで得た手応え。女子W杯まで半年、阪口夢穂が振り返る2014年

text by 青木務 photo by Getty Images

若手にとって基準となるカナダ戦

 なでしこジャパンの連携は特殊だ。例えば守備の際、相手を外に押し出すのではなく中に行かせるというのは、なでしこジャパン独自の戦術だ。セオリーとは真逆の方法を取り入れ、結果を残してきた。だが、セオリーとは違うからこそ、すぐに身につけられるようなものでもない。

「多分初めて来た子には全然意味がわからないと思いますし、やりにくいんかな」。そういって阪口は若手を気遣った。

 W杯と五輪を経て、なでしこジャパンには確実に自信が生まれた。しかし、同時に危機感も芽生えた。ライバルも進化を続けており、さらなるレベルアップがなければ再び世界の頂点に立つことはできない。だからこそ、既存戦力の成長だけでなく、次の世代の底上げも重要な課題なのだ。

 世代交代は簡単なものではない。単純に選手を入れ替えるだけではチーム力を維持できず、かといって新陳代謝がなければ、それこそ成長が止まってしまう。何より若手の台頭は、中堅・ベテランの奮起を促すことにも繋がる。

 そういった好循環を生む意味でも、カナダ遠征で見せたなでしこジャパンのパフォーマンスは若い選手にとって刺激になっただろう。あの2試合はひとつの指標となる。

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