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アジアでの悔しさとカナダで得た手応え。女子W杯まで半年、阪口夢穂が振り返る2014年

text by 青木務 photo by Getty Images

カナダで感じた安心感

 10月に行ったカナダ遠征で、なでしこジャパンは2014年のスケジュールをすべて終えた。カナダ代表との2連戦では海外組を9人招集し、現時点のベストといえるメンバーで臨んだ。長くなでしこジャパンを引っ張ってきたメンバーだけに、攻守においてスムーズな連携を見せ、W杯開催国を相手に2連勝を飾った。

 経験豊富な選手が多く名を連ねた一方、それまで招集されていた若手はほとんど選ばれなかった。

 海外組もいる中で、若手がどれだけやれるかも気になるところだった。それでも、長く共に戦ってきた者同士が見せるコンビネーションは流麗で、テンポの良い攻撃は常にゴールを予感させた。また第2戦こそ2点を奪われたが、攻守の切り替えも上々だった。北朝鮮戦では発揮できなかった“なでしこジャパンらしさ”がそこにはあった。

 帰国後の阪口に、カナダ遠征の感触を尋ねた。

「お互いの動きがわかっているという意味では、安心というのはあります。『懐かしいな』みたいな」

 新たな何かを模索するのがアジア大会までの日々なら、この2連戦はこれまで積み重ねてきたことの復習といった意味合いが強かったという。

「球際の激しさとかは言われましたけど、これといって新しく取り組んだことも特になかったですし、やっているサッカーは以前と変わらなかったと思う。ノリさん(佐々木則夫監督)はもっと高いところを求めていたかもしれないですけど、自分はやりやすいなと率直に思いました」

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