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2015年の君たちは――。東京ヴェルディユース、花の92年組を追って:第12回 一意専心と放浪と

「ヴェルディに入ったんですが、強すぎましたね。僕にはレベルが高すぎた」

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ベンチに飾られる寄せ書きのフラッグ。山浦は「意地」と書いた【写真:海江田哲朗】

 現在、山浦は卒業論文を書いている真っ最中。スポーツに関するデータ分析のゼミに属し、サッカーの得点に至る軌跡を検証しているそうだ。そして来春、就活に入る。

「インカレが終わって、ぼちぼち調べ始めたところです。業種だと、金融関係はあまり興味がないかなぁ。だいぶ漠然としているんですけど、どんな形でもいいから海外に行きたい。広い世界とつながっている仕事がしたいです」

 年末年始は仲間内でフットサルをやる機会が多い。3年生の初夏、重度の故障を負った左足首に痛みを感じることは少なくなった。それでもボールを蹴るときは念のためにテーピングを巻く。やがて、その痛みすら懐かしく思い出す日が来るのだろう。

「リョウ(渋谷亮・中央大4年)とボンちゃん(大木暁・駒澤大4年)がヴェルディに入ったのは本当にうれしいです。試合に出るときは絶対に観に行きますよ」

 12月26日、置き忘れたみたいで気になっていた92年組のひとりと会えた。横内宏治(青学大4年)。切れ味鋭いドリブラーで、長野県松本市のFC ASA FUTUROを経て、東京ヴェルディユースに加入した選手だ。

「中学の頃、ナショナルトレセンに行くと、ほとんどがJクラブの育成組織の選手なんですよ。どうせなら強いチームでやりたいと、誘っていただいたヴェルディに入ったんですが、強すぎましたね。僕にはレベルが高すぎた」

 足を踏み入れたランドは驚愕の連続だった。自分と同じ高1の高木善朗(清水エスパルス)が、軽いプレーをした高3の選手に対して「おいッ、ちゃんとやれよ」と怒鳴りつけていた。小林祐希(ジュビロ磐田)は近寄りがたい雰囲気で、まともに口がきけなかった。ここはサッカーの巧い奴がえらい世界だ。とんでもないところに来てしまったと後悔した。

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