八百長を報道する義務とJFAに求められるリスクマネジメント
アギーレ氏は先日の会見で「汚点はない」と繰り返し発言した。私もそれを信じたいが、汚点があるかどうかを決めるのは、アギーレ氏でも、我々メディアでもない。スペイン当局だ(JFAが“汚点あり”と“決める”ことはある)。
彼らがどのような捜査をし、どのような決断を下していくのか、注目しなければならない。
本人は「スペインではスキャンダルになっていない。日本だけがスキャンダルになっている」とも述べた。大騒動とは思っていないようだ。だが、スペインのメディアではクリスマス休暇に入る前までは連日のように報道されていた。
また、仮に騒動になっていないとして、それ自体に私は違和感を覚える。疑惑の段階とはいえ、そのような話は一大事ではないのか。日本サッカーでは今までに八百長の報告は一つもなく、今回のような反応になったとしても当然のように思える。私たちはかつてプロ野球で起こった“黒い霧事件”や角界での不祥事を苦い記憶として忘れてはいない。
海外ではよくある話なのかもしれない(八百長研究の第一人者デクラン・ヒル氏の調査によれば、ある一年間で八百長が行われた試合は680にものぼる)。だが、ここは日本だ。八百長という問題を重要視し、今後も日本で起きぬよう報道していくべきだ。八百長がいかにサッカーを貶めるものかということを、多くの人に知ってもらうことが第一の防止策となる。
そして忘れてならないのは、アギーレ氏がいくら潔白を主張しようとも、推定無罪(疑わしきは罰せず)という基本原則があろうとも、JFAはW杯を見据えたリスクマネジメントをしなければならないということだ。
このままアギーレ氏でロシアまでいければベストだが、事態が急展開する可能性がないわけではない。裁判は長期化すると見られているが、その間に何度もスペインに招集されるとすれば、チーム作りに支障が出ることは十分に考えられる。
どのような決断でも構わない。だが、しっかりと準備をし、最悪のケースを常に考えた上で決定を下すべきだ。大事な試合を、指揮官不在で戦うことだけは避けなければならない。
【了】
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