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ドメネク、アンリもその“被害者”。「言葉の暴力」に「虐殺」で応じた仏誌銃撃事件。改めて問われる『表現の自由』の意味

フランスで残忍なテロ事件が発生した。際どい風刺イラストを掲載し続けた週刊誌が銃撃され、編集長ら12人が射殺された。スポーツの場では、同週刊誌を支持するメッセージが掲げられているが、改めて「表現の自由」の意味が問われている。

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

仏国内外で溢れるテロ行為反対のメッセージ

ドメネク、アンリもその“被害者”。「言葉の暴力」に「虐殺」で応じた仏誌銃撃事件。改めて問われる『表現の自由』の意味
ラツィオ・ローマの選手たちのユニフォームの胸には、Je suis Charlie の文字が刻まれていた【写真:Getty Images】

 年明け早々、フランスでテロ事件が勃発した。

 1月7日、武装した2人組の男がパリ東部にある風刺週刊誌『シャルリー・エブド』の編集部を襲撃し編集長や警官を含む12人を射殺、11人が負傷するという残忍な事件が起きた。

 犯人は、その後もユダヤ食料品店や、パリ北東部の広告制作会社に人質をとって立てこもり、さらなる犠牲者を出した。

 犯人達は治安当局により射殺されたが、今回の事件はそれで一件落着となるようなものではない。

 11日には、フランス全土でテロに反対するデモが行なわれた。集結した数は公称およそ370万人だが、多すぎて当局も正確な数字を把握できていないらしく、フランス史上最大規模とも言われている。

 この事件への関心を象徴するのが『Je suis Charlie』のスローガン。

 週末のサッカー試合では、フランス以外でもスタンドにこのメッセージを掲げるサポーターが数多く見られ、ラツィオ・ローマの選手たちのユニフォームの胸には、Je suis Charlie の文字が刻まれていた。

 ラグビーでも、カストルの選手たちは試合前、胸に『我々はみなシャルリーだ』のメッセージが入ったTシャツを着て整列。

 アメリカでは、ワシントン・ウィザーズのケビン・セラフィンやポートランド・トレイルブレイザーズのニコラ・バトゥムら、NBA所属のフランス人選手が、試合前にこのメッセージ入りのTシャツを着てウォームアップを行なった。

 また、スキーのジャンプ場では雪で覆われたスロープにJe suis Charlie の文字が刻まれるなど、週末のスポーツイベントでは、フランス国内外で、被害者の死を悼み、テロ行為に反発するメッセージで溢れかえった。

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