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アジア 9年前

サッカルーズに突きつけられた“現実”――。準々決勝、中国戦での奮起はなるか

text by 植松久隆 photo by Getty Images

持ち合わせていなかった“プランB”

 そのメンバーで、酷暑の中でもポスタコグルー監督の目指す細かいパスを繋ぐスタイルを5万人近い大観衆に披露することはできた。唯一の失点は、一瞬の気の緩みを突かれたものだったが、この大会に入ってから今一つ連携面で安定感が出てこないDF陣の弱点を突かれた痛い失点だった。

 先に失点を許して追いつくとなると、3度もの決定機でゴールネットを揺らすことができなければ、勝利は転がってこない。結果、アジアのトップレベルとの対戦で新生サッカルーズの実力を測る意味合いもあった大事な試合には、残念な結果しか残らなかった。

 試合後のスタッツ上では、シュート数もおよそ2倍。ポゼッションを69.6%も取りながらの惜敗には、徒労感しか残らない。試合後、会見場に姿を見せたポスタコグルー監督も失望の色を隠さなかった。

「確かに、非常に残念な結果だ。パフォーマンスという観点からは、選手を批難することはできない。彼らは良い結果を出そうと持てる力の全てを出して、実際、勝利という結果のために多くのチャンスを創った。しかし、それが実らなかった」

 韓国という強敵相手に試合をコントロールしながら勝てなかったこの試合は、現状のサッカルーズの立ち位置をある程度、明確に示した。ポスタコグルー監督の目指すサッカーは、アジアの中位に位置する国が相手なら通用する。しかし、日本や韓国といったアジアのトップレベルには、まだ充分には通用しない。単純な比較論かも知れないが、ここまでの結果がそれを雄弁に物語っている。

 だからと言って、サッカルーズが進んでいる道が間違っているとも思わない。ただ、パスサッカーを封じられた、通用しないとなった時の“プランB”をきちんと持っていなければならない。

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