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川崎フロンターレ、2015補強診断。前線は破壊力抜群。攻守のバランスを見出せるか

text by 編集部 photo by Getty Images , Asuka Kudo / Football Channel

最大の“補強”は大久保の残留。前線の競争は熾烈に

川崎フロンターレ、2015補強診断。前線は破壊力抜群。攻守のバランスを見出せるか
2年連続の得点王を獲得した大久保嘉人【写真:工藤明日香 / フットボールチャンネル】

 昨季の川崎Fで目立っていたのはやはり攻撃面だ。個人スタッツを見てみると、18ゴールで2年連続の得点王を獲得した大久保嘉人は言わずもがな、パス数(3035本)とアシスト数(14)の1位が中村憲剛、ドリブル数(164回)とシュート数(91本)の1位がレナトだった。

 日本代表としてアジアカップにも参加した小林悠も12得点を記録し、チーム全体でもJ1で上から3番目となる53得点(PK除く)を挙げた。

 しかし、シーズン終盤になってエースの大久保に移籍の噂が浮上。ヴィッセル神戸への復帰やFC東京への移籍などが盛んに報じられた。

 結局は残留を宣言して騒動は終結するのだが、得点王の流出を避けられたことが今季に向けての最大の“補強”と言えるかもしれない。

 大久保と小林、レナトが健在の中、今季は松本山雅から船山貴之、セレッソ大阪から杉本健勇と2人の実力者を確保した。

 船山は昨季J2で19得点を挙げてステップアップを遂げた。攻撃的なポジションならばどこでもこなせ、大久保と小林の得点力をさらに高めることが期待される。

 昨季の杉本はキャリアハイの5得点を挙げたが、J2へ降格したC大阪の調子に引きずられるかのごとく様々なポジションで苦闘し、本来のポテンシャルを発揮できたとは言いがたい。

 川崎Fでは9番を与えられたことからもわかるように、その才能への期待は特大だ。練習試合でも順調にゴールを積み重ねており、大久保の新パートナーとして船山を一歩リードしていると見られる。

 そしてもう一点、攻撃面で重要な部分を占めるのが中盤の構成力だ。昨季は中村憲剛が負傷でコンディションを低下させた夏場以降、それに合わせるかのごとくチームが上手くかみ合わなくなってしまった。

 中村もフル稼働を望める年齢ではないため、チームのクオリティを維持するには昨季コンビを組んだ大島僚太や、下部組織から昇格した三好康児の成長が不可欠だ。

 今季は両サイドを小林やレナトのようなアタッカータイプの選手が務めるため、ゲームメイクはセントラルMFにゆだねられることになる。中村と大島の控え不在は昨季と同じ状況を生み出しかねず、リスクが大きい。

 U-22代表の主力として活躍する大島の実力は周知の通りだが、3月に18歳を迎えるルーキーの三好も新潟との練習試合で2得点するなど、すでにその力をトップチームでも見せ始めている。「川崎ユースの最高傑作」とも称される小柄なMFのプレーにも要注目だ。

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