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【イタリア人の視点】ユベントス、必然の快勝。ドルトムントをなぜ粉砕できたのか?

text by チェーザレ・ポレンギ photo by Getty Images

ピルロの穴を完璧に埋めたマルキージオ

 ユベントスは1stレグで司令塔のアンドレア・ピルロを負傷で失った。日本国内では、「ピルロ不在はドルトムントにとって有利」と述べた識者もいたが、彼らは本当に1stレグの試合を観ていたのだろうか? 2ndレグでピルロの代役を務めたクラウディオ・マルキージオは完璧にピルロ不在の穴を埋め、“ユベンティーノ”に不安を与えることはなかった。

 特に、2点目のアルバロ・モラタのゴールを演出したシーンは傑出していた。ゴールをアシストしたテベスへのノールックパスは、ピルロと同じレベルにあるものだった。

 ひとりの選手を欠いただけで崩れてしまうようであれば、ビッグクラブとは呼べないだろう。彼らは、ビッグクラブとしての選手層の厚さを見せつけた。

 この試合でもうひとり目立っていた選手はロベルト・ペレイラだ。トップ下としてチーム3点目となるテベスへのアシストをマークしただけではなく、守備にも奔走し、勝利に貢献した。ピルロ、マルキージオ、ポール・ポグバらが名を連ねるユベントスの中盤において、ニューフェイスとしてチームの中心となれることを示した。

 勝敗を分けたもうひとつのポイントは、指揮官マッシミリアーノ・アッレグリ監督の存在だ。1stレグのピルロに続き、2ndレグでもポグバが負傷するアクシデントに見舞われたアッレグリだったが、試合の流れを的確に読み取り、スコアや状況に応じた采配を振るった。先制後に負傷したポグバに替えてアンドレア・バルザーリを投入し、3バックにシフトチェンジしたことで守備に更なる安定感をもたらし、ドルトムントに隙を与えることはなかった。

 前任のアントニオ・コンテは指揮を執ったおよそ3年間で一貫して3-5-2を使い続けており、“プランB”を持ち合わせていなかった。しかし、アッレグリは状況を見極めた上で3バックと4バックを使い分け、戦術的に優れていることを証明した。 

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