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Jリーグ 9年前

広島、奪冠のカギはツーシャドー。「縦への推進力」はクリア。3枚のカードで変化を生み出せるか

text by 竹島史雄 photo by Getty Images

個性を生かしきれない交代選手たち

 2015年版のサンフレッチェのツーシャドーはまずは先発に基本である「縦へのスピード」を求めたことで一定の手ごたえを得た。だが、サッカーは90分、次なる手も待ったなしである。2節の松本戦、3節の浦和戦、いずれも後半に交代カードを切り始めたところで攻撃のパワーが失われた。佐藤寿人が交代して、森﨑浩司と浅野拓磨がガス欠したら、得点の可能性が消えた。

 森保監督も「反省する部分」と認める攻めのトーンダウンである。理由はいろいろあろうが、一つには先発にスピードあるタイプを入れているために当然ながらそれ以上にスピードアップすることが難しいこと、もう一つは真剣に向き合うこととして、変わって出てくる選手が自らの個性を活かし切れていない点だろう。

 コンビネーションサッカーというのは熟成に時間がかかる、ところが、交代出場する選手の組み合わせは試合状況で毎回異なるので、そこを熟成することはなかなかできないというジレンマに陥りやすい。

 現状は控えのメンバーに他の選手を活かすタイプの選手がいないのも理由だろう。贅沢ではあるが控えにも司令塔は要る。もしくは個で貫くか。

 守りに関してはJ1の開幕3試合で失点はPKの一つのみと浦和同様に安定した守備でスタートしただけに、攻めの構築を一歩一歩積み重ねることが4月戦線のカギとなる。だが、その地味で堅実な積み重ねこそ森保一監督のもっとも得意とするところ。3枚のカードをどう繰り出すか、注目したい。

【了】

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