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Jリーグ 9年前

目指し続けた埼スタで“再デビュー”を果たした浦和DF岡本。自信と課題を見つけた76分間

text by 青木務 photo by Dan Orlowitz

今後の目標は「スタメンを狙っていける存在になること」

 守備では持ち前の対人の強さを見せた。「球際は強く行くんですけど、あまり食いつき過ぎないように。入ってきたところにしっかり行くことを意識した」と、昂ぶる気持ちを抑えながら冷静に相手と対峙した。

 課題は攻撃面だ。浦和のCBはボールを持って前進し、FWに楔のパスを通すことなどが求められる。しかし、岡本は前にボールを付けられる状況で横パスやバックパスを選択し、チームの攻撃にブレーキをかけてしまう。この右CBは前半、ベンチの目の前でプレーしていた。消極的なパスを出すと、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督が大きなジェスチャーと共に前へ進むことを要求した。

「前半から監督に『もっと前を狙え』と言われていた」と岡本も認める。とはいえ優勝の可能性もある試合で、今季リーグ戦初出場ということを考慮すれば、称賛されるべきパフォーマンスだったといえる。

 74分に足がつり、そのまま交代となった。スタッフからはマル印が出ており、その後もプレーできたかもしれない。だが、そこは勝負の世界。指揮官が相手に付け入る隙を残さなかったのは当然だ。また、あの後も岡本が出場し、仮に失点に繋がるミスを犯せば自信喪失に繋がりかねない。その意味で、あの交代はペトロヴィッチ監督の“親心”でもあったのではないだろうか。

 再び埼スタのピッチに立った。今後は「常にメンバーに入り続けることと、スタメンを狙っていける存在になること」が目標だ。

 浦和でリスタートを切った岡本。同じポジションのライバルは強力だが、彼が今後も最終ラインを争うことができれば、間違いなくチームの底上げとなるはずだ。

【了】

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