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“混沌”のレスターがラニエリに見出した可能性。岡崎慎司は『職工』のもと輝きを放てるか?

text by 山中忍 photo by Getty Images

“職工”ラニエリ、岡崎と共にプレミア定着へ

 ラニエリは、CBのロベルト・フートと助監督のスティーブ・ウォルシュと面識もある。昨季途中のレンタルを経て今夏に完全移籍したフートは、チェルシー時代にラニエリが獲得した選手。ウォルシュは当時チェルシーのスカウトだった。

再契約交渉中だが、昨季レスターで中盤の要となったカンビアッソもインテルで配下にいた選手。旧知の彼らが昨季終盤の3-5-2奏功を説けば、新監督は耳を傾けるのではないか?

 3バックは、ジェフリー・シュルップ、マーク・オルブライトン、リヤド・マレズらの速さと運動量をウィングバックとして生かせる。同時に、攻撃志向でありながら得点不足だった昨季問題点の改善策として補強された岡崎にとっても、厳密には3-4-1-2となるシステム採用となれば好都合だ。

 巷には、ラニエリ就任を「危険な掛け」と見る向きも少なくない。前述した「いじり癖」に加えて、ロシア人富豪オーナーのオイルマネー注入にもかかわらずチェルシーで無冠だったという印象が強いのだろう。だが、実際に「金満」を経験したのは2位につけた2003/04シーズンのみ。その前の3年間は借金まみれの前オーナー体制下で人員整理と若返りを強いられながら、10位で受け継いだチームをトップ6内に留め続けたのだから悪くはない。

 新任地での現実目標は、イメージアップに躍起になっている感のあるタイ人オーナーが何と言おうが、降格回避とプレミア定着の足場固めになる。プレミアでの前回実積からしても十分に遂行可能な任務だ。

 プレミア復帰を「夢」と語るラニエリは、レスターで「職工」としての腕を認められるかもしれない。やはり、レスター入りで念願が叶った岡崎を戦力として使いながら。

【了】

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