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新生ドルトムントはオーケストラのように――。トゥヘルによる“ペップ化”の始まり

text by 本田千尋 photo by Getty Images

「我々は一つのオーケストラのように結集してプレーするつもりだ」

 またマインツのU-19を率いていた時代に、ペップが率いたFCバルセロナ、特にそのゲーゲンプレッシングから影響を受けたこともトゥヘルは明かしている。

 つまり『シュポルトビルト』誌によれば、アジアツアーでは、BVBが今後プレーするであろう「バイエルンのティキ・タカのような」トゥヘルの持ち味が既に垣間見えたとのことだ。

「高いボール・ポゼッション」と「早く正確なパス」、そして「全ての選手は常に運動の中にある」…。14日付の『ヴェストライン』電子版によれば、トゥヘルはマインツ時代とは異なることに挑戦しようとしているという。

 そうだとすれば、トゥヘル・マインツのスタイルがペップ・バイエルンとは違っていたことも合点が行く。

 まるでペップのように、トゥヘルは「システムは重要じゃないんだ」と述べる。

「我々は一つのオーケストラのように結集してプレーするつもりだ。誰もが自分勝手な演奏をしては、調和はもたらされない」

 しかし『シュポルトビルト』誌の指摘するこのようなBVBの変化は、川崎フロンターレ、ジョホーン・サザン・タイガースとのエキシビションだったから顕著だったとも言えるだろう。

 両試合を6-0、6-1で勝利したとは言え、公式戦でも実践することが出来るという保証はどこにもない。そのためにもバッド・ラガーツでの合宿は重要となる。

 クロップが築き上げたプレッシング、ゲーゲンプレッシングを継承しつつ、トゥヘルによってペップ化が進められると、BVBはどのような化学変化を起こしていくのだろうか。

 17日のボーフムとのテストマッチは、その始まりと言えそうだ。

【了】

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