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意志あるところに道は開ける――。欧州挑戦を決めた武藤の思い。FC東京・立石GMが語る移籍の真実

text by 藤江直人 photo by Getty Images

史上2人目の快挙達成。のしかかる重圧をはねのけた武藤

 迎えたガンバ大阪との開幕戦。2点のビハインドをドローに持ち込む2ゴールを決めたのは武藤だった。 3月の月間MVPを獲得し、6月7日の松本山雅FC戦では10ゴール目を決めた。

 デビューから2年連続の二桁得点は、1995年の城彰二以来となる。Jリーグ史上2人目となる快挙は、立石氏をして「僕たちが思う以上の結果を残してくれた」と海外移籍を容認させるのに十分だった。

 ここまで何度も記したキャリアパスにはひとつの傾向があると、立石氏は自らの経験から断言する。

「キャリアパスを細かく、しっかりと書けている選手はほぼ成功している。その意味では(太田)宏介もきっちりと書いてくる。目の前の結果に一喜一憂することなく、コツコツと目標を積み上げていける選手が、上のステージへ登っていけるということです」

 振り返ってみれば、武藤は約1年前に記したキャリアパスをすべて実践している。たとえばゴール数。昨シーズンの前半戦だけを見れば、13試合でわずか2ゴール。数多くのチャンスを得ながら決め切れなかった不甲斐なさを糧にして、迎えたW杯による中断期間をターニングポイントに変えた。

 マッシモ・フィッカデンティ監督から連日のように課された個別指導を、武藤は感謝の思いを込めながらこう振り返ったことがある。

「マッシモ監督が自分の弱みを改善するトレーニングを伝えてくれたおかげで、中断明けに自信を持ってプレーすることができたし、実際に得点も増え始めた。具体的にはシュートの仕方。弾道を低く抑えて、かつ強く蹴る動きを徹底して教え込まれました。ストライカーに必要な要素や、前線での動き出しまで指導してもらった。いまの自分があるのは、マッシモ監督のおかげだと思っています」

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