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「武藤嘉紀」として居場所を得るために。言葉の壁もプレーでも、積極姿勢で第一歩を踏み出す

マインツでの入団会見から2週間が過ぎた武藤嘉紀。すでにテストマッチでは実戦デビューするなど、新シーズンに向けたアピールもスタートしている。その中でチームや現地での評価はどのようなものなのだろうか。現地在住記者がレポートする。

text by 本田千尋 photo by Getty Images

まるで何年か在籍する選手のようにプレーする

「武藤嘉紀」として居場所を得るために。言葉の壁もプレーでも、積極姿勢で第一歩を踏み出す
武藤嘉紀は1.FSVマインツの一員として実戦デビュー【写真:Getty Images】

 人柄の為せる業、と言うべきか。武藤嘉紀は、2015年7月11日に1.FSVマインツの一員として実戦デビューした。FSVサルムローアとのテストマッチで、後半開始から4-2-3-1の右SHとして出場する。

 73分からは、FWデ・ブラシスが負傷退場したことで、CFのポジションに移った。監督シュミットは、武藤の適性をワントップのポジションにも見出している。

 試合後に武藤は「まだまだコミュニケーションが取れていない」とまず口にした。自分とチームメイト、双方のストロングポイントを「毎日早くコミュニケーションを取って理解し合えるようにしないといけない」と感じたという。

 11日付の地元紙『アルゲマイネ・ツァイトゥング』電子版は、武藤のデビューの様子を次のように報じた。

「彼はいくつかの場面でそのスピードと、体を使って上手くボールをキープすることが出来るということ示した。しかし明らかにまだ新しい同僚とのコンビネーションが欠けていた。ドイツに来て4日目では、普通のことだ」

 しかし武藤は、ドイツにやって来てまだ4日しか経っていないのだろうか。入団会見からは2日が過ぎたばかりだったが、まるで何年か在籍する選手が新たなシーズンを迎えたように、武藤はサルムローアの田舎町でプレーした。

 9日付の『アルゲマイネ・ツァイトゥング』電子版は、入団会見に臨んだ武藤のことを「好感の持てる印象を残した」と記している。冒頭の挨拶をドイツ語で始めて、マインツでプレーすることの喜びを語ったことは、地元メディアに好印象を残した。スーツ姿の武藤が、どこか品のある佇まいを見せたことも無縁ではないだろう。

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