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日本代表 9年前

攻撃陣が機能しなかったハリルJ、堅守も速攻もなし。失われてしまう“大会の意義”

text by 西部謙司 photo by Getty Images

大会の意義は選手の見極めのみ?

 アジアとW杯本大会ではレベルの差がある。そのギャップをどう埋めるかは日本代表の大きな課題だ。

 アジアではボール支配を前提とした戦い方ができる。相手を押し込み、失ってもハイプレスをかけてロングボールを蹴らせて回収する。この流れができているかぎり、勝ちに近い位置を占めてプレーすることができる。たまに決定力不足や一発のカウンターに泣くことはあっても、これまでは常に有利な立場でプレーできていた。

 ただし、W杯はそのままでは通用しない。相手にボールを握られる時間は必ず増えるし、引かれたときの守備はアジアより強固でカウンターもはるかに鋭い。日本が本来得意とするプランAを突き詰めるだけでなく、プランBも必要になる。

 ハリルホジッチ監督は、日本と似た立場だったアルジェリアを率いて2通りのプランを用意し、ベスト16へ進出した。ただ、ポゼッション型と堅守速攻型を同じメンバーで行うのは難しいので、予想される試合の性質に合わせてメンバーを入れ替える総力戦を挑んでいた。

 東アジアカップでは堅守速攻型の編成で2試合を戦っている。気候や対アジアということでいえば合理的な選択ではない。しかし、今やっておかないとこの戦術を試す機会はかなり限られてしまうので、ある程度の不首尾は想定内だったろう。

 しかし、ここまで機能しないとは監督も考えていなかったのではないか。

 日本は2010年南アフリカW杯やロンドン五輪で、かなり短期間で堅守速攻型の構築に成功している。今回の準備が比較にならない短さなのは確かだが、監督就任からそれなりの準備はしてきたはず。3戦目ではもう少し形にしないと、大会の意義が個々の選手の見極めだけになってしまう。

【了】

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