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バルサに支配力を取り戻した「3バックの攻撃」。苦戦を勝利に変えた苦労人の“新戦力”

苦しみながらも連勝スタートを切ったバルセロナ。開幕戦で封じられたビルドアップは、ブスケツをDFラインに下げることで解決。そして、2試合連続でチームに最も貢献したのは昨季を負傷で棒に振ったフェルマーレンだった。

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

「対バルサ」に1つの答えを示したビルバオ

バルサに支配力を取り戻した「3バックの攻撃」。苦戦を勝利に変えた苦労人の“新戦力”
『Wyscout』が出すビルバオとの開幕戦の平均ポジション(図1)

 短くも長い1シーズンを戦い終え、すべてを手に入れたチームにとって、新たなシーズンのスタートは特に難しいものなのだろう。ライバルチームは徹底的な分析と対策を練り、自らのモチベーションの維持も苦労する。

 それらの問題に対する最も有効な打開策は新戦力の獲得である。新たな選手はチームに新たな特徴をもたらし、チーム内に競争を生む。特に流れの速い昨今のサッカー界において、“血の入れ替え”はたとえすべてを手に入れたチームであっても不可欠なものだ。

 当然、昨季の3冠王バルセロナもDFアレイクス・ビダルとMFアルダ・トゥランという有力な選手を獲得した。ところが、FIFAからの補強禁止令によって今季前半戦は起用することができず、ひとまず昨季のチームのままでの戦いを余儀なくされた。

 そんな中で迎えたビルバオとの開幕戦。バルサは1-0で勝利を手にしたものの、ビルバオが王者対策として実践したプレスの前にDFラインのビルドアップが封じられ、これまでの支配的な強さは影を潜めた。

 このビルバオの戦い方は「対バルサ」というテーマに1つの答えを示したように見えた。逆にルイス・エンリケ監督はDFラインのパスワークを封じられた際の打開策を見出すことを強いられたともいえる。

 そして、開幕2戦目となるホームでのマラガ戦。その打開策として、ルイス・エンリケ監督はセルヒオ・ブスケツをDFラインの中央に入れるという選択をとった。

 まず、『Wyscout』が出すビルバオとの開幕戦の平均ポジション(図1)を見ると、CBを組むヴェルメーレンとマスチェラーノと、アンカーを務めるブスケツは三角形を作るようにポジションを取っている。

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