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日本代表 9年前

【識者の視点】日本代表、シリア攻略の鍵は『ビルドアップ』。真価問われる“ハリルのスタイル”

text by 河治良幸 photo by Getty Images

ビルドアップからの攻撃を意識する柏木と清武

【識者の視点】日本代表、シリア攻略の鍵は『ビルドアップ』。真価問われる“ハリルのスタイル”
ハリルホジッチ体制では初めての代表参加となった柏木陽介【写真:Getty Images】

 初めての参加となった柏木は「代表ではより前でプレーしなければいけないかなという部分と、速攻という部分がずっと言われているから、落ち着かせるところも…と思っていたけど、そういうわけにはいかなそうな気もする」と素直に語るが、その中で「簡単にボールを奪われない様にするのと、簡単にボールを動かしながらパスアンドゴーを常に繰り返していけたら」とイメージしている。

 また2列目の全てで出場の可能性がある清武は「ゴール前で仕留められる選手が多いですし、(本田)圭佑君だったり、(香川)真司君だったり、そういう人にボールをなるべく多く触らせた方が代表はすごくリズムがあると思う」と語っており、彼が入った時にはビルドアップで周囲をうまくつなぎながら、スムーズに攻撃陣の特徴を出していくことを意識している様だ。

 ハリルホジッチ監督は就任から間もなく、日本がボールを奪って1つ目のパスがすぐ近くの味方に偏りすぎていることを問題点としてあげていた。そうしたパスの距離とスピードアップに取り組んできているが、その成果が十分に出ているとは言いがたい。実際に国内組で参戦した東アジアカップの韓国戦などではその問題が浮き彫りになった部分もあるが、二次予選では常にボールを持って押し込む時間が長いため、より前線での課題がクローズアップされてきた。

 特に前回のアフガニスタン戦はアザディ・スタジアムのピッチ状態が悪く、ボランチの長谷部誠と山口蛍がマンマークされていた事情もあり、高い位置で常時フリーとなっていたCBの吉田麻也や森重真人から大きな展開をサイドの選手が受け、そこから切り崩していくシーンが目立っていた。

 シリア戦の会場となるシーブ・スタジアムはテヘランのアザディ・スタジアムほど悪いピッチには見えないが芝が長く、またGKの西川周作が「見た目は良さそうですけど、意外とボールが跳ねなかったり、下が緩かったりする」と語る様に、グラウンダーのパスが止まりやすい部分もある。そうした状況で、日本ボールになったところから、速く正確なパスで相手のプレッシャーをうまくいなせるかが、効率的に高い位置で起点を作るためのカギになりそうだ。

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