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日本代表 9年前

【識者の視点】日本代表、シリア攻略の鍵は『ビルドアップ』。真価問われる“ハリルのスタイル”

text by 河治良幸 photo by Getty Images

シリア戦はハリルホジッチ監督が目指すスタイルの真価が問われる一戦に

【識者の視点】日本代表、シリア攻略の鍵は『ビルドアップ』。真価問われる“ハリルのスタイル”
GK西川周作は最後尾からビルドアップを支える【写真:Getty Images】

「シリアがどう来るか分からないですけど、前から来たときも慌てずにつなげたり、あるいは大きく蹴るとか、意図あるボールをどんどんトライして、90分間持ってやることで充実感と言うのは違いますし、結果も違ってくると思うので、ワンプレーワンプレー狙いを持ってやっていきたい」

 そう語る西川をスタートとして、最終ライン、ボランチ、トップ下、前線とスムーズに連動しながら、効率よくボールを前に運ぶ。その中で、しっかりと攻撃イメージをしっかり共有し、足下で短いパスを受けるだけでなく、可能ならワイドなポジションの選手に展開して、相手の守備を見ながらサイドを突く、あるいは中にリターンをして中央の縦を突くといった柔軟かつ迅速なコンビネーションが重要になる。

「前線のサイドのアタッカー、スピードがある選手、ドリブルできる選手が多いですから、そういう選手をうまく生かして、自分もリズムに乗っかっていければ」と語る香川真司もビルドアップにおけるポジショニングや味方との意思疎通をしながらタイミング良く攻撃をスピードアップしてゴール前に入っていくことが、シリアの守備を崩す上で重要になることを指摘する。

 試合の流れにおいては「全部イケイケドンドンではいけないだろうなというのは思っている」と柏木が語る様に、湿気を含んだ暑さの中で、時間帯によってペースも考えながらボールをつなぐところも大事になるが、シリアの出方も見ながらしっかりワイドにボールを動かして、効率よく高い位置に起点を作ることで、より多くのチャンスが生まれてくる。

 シリア戦は絶対的に勝利が求められる試合でもあり、いざチャンスになったところでフィニッシュの質や精度が問われることは変わらないが、より実力が接近した相手に対して良い守備から入り、質の高いビルドアップで主導権を取り、チャンスを作っていけるかという部分がよりテーマになる。本当の意味でハリルホジッチ監督が目指すスタイルの真価が問われる試合だ。

【了】

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