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チェルシーを襲った危機、復権の合言葉は『原点回帰』。モウリーニョと共に歩むブルーズの決意

text by 山中忍 photo by Getty Images

失点数はリーグワースト2…イバノビッチは自信喪失

チェルシーを襲った危機、復権の合言葉は『原点回帰』。モウリーニョと共に歩むブルーズの決意
今季は低調なプレーが続くブラニスラフ・イバノビッチ【写真:Getty Images】

 無論、モウリーニョにも責任はある。例えば、ブラニスラフ・イバノビッチの先発起用継続。チーム最年長であるジョン・テリーの機動力不足には、若いクルト・ズマのスタメン昇格で手を打つ決断を下したが、同じ30代DFのイバノビッチにはベンチ降格を告げようとしなかった。

 だが今季のイバノビッチは、かわされることを恐れて距離を詰められない守りからも、コースもスピードも中途半端なクロスからも自信の低下が顕著になる一方。サウサンプトン戦は、敵にイバノビッチのサイドを狙われた一例に過ぎない。指揮官には、左SBとして起用しているセサル・アスピリクエタを本来の右に回す手段があるはずだった。

 その指揮官に危機到来の全責任をなすりつけることなく、集団責任として危機脱出に取り組む構えを見せたチェルシーは、モウリーニョのチームとしての基本に立ち返る必要がある。つまり、堅守ベースの立て直しだ。

 攻撃姿勢の強化は理想で、先制されたり追いつかれたりする度に自信を失っているのが現実。8試合で20チーム中ワースト2の「17」という失点に歯止めをかけることが先決だ。

 モウリーニョの言葉を借りれば「1ステップ」分、昨季レベルまでラインを下げれば、テリーとガリー・ケイヒルのCBコンビ復権に伴う走力不足の不安は減少する。チェルシーらしからぬセットプレーからの安易な失点も見られることから、ズマの機動力以上にテリーの統率力が求められる現状でもある。

 SBの人選は、先のセルビア代表戦でのイバノビッチ負傷が不幸中の幸い。今夏に左SBのバックアッパーとして加入したババ・ラーマンと、本職に戻るアスピリクエタが攻守のバランスを取れば良い。

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