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香川真司 8年前

香川が跳んだ。ヘディングに突き動かした極限=緊張。沸騰寸前のスタジアムに爆発起こす

ブンデスリーガ第12節、ドルトムントはホームでシャルケとの“レヴィアダービー”を行い、3-2で勝利。先制点を奪った香川真司は自身でも認めるほど珍しいヘディングでのゴールとなった。その瞬間、スタジアムの興奮はピークに達した。

text by 本田千尋 photo by Getty Images

意地であり誇り。ダービーが意味するもの

香川が跳んだ。ヘディングに突き動かした極限=緊張。沸騰寸前のスタジアムに爆発起こす
香川は「やはりダービーですし、特別な雰囲気はあった」と振り返る【写真:Getty Images】

 沸騰寸前だったジグナル・イドゥナ・パルクが暴発した。30分のことだ。

 カストロとのワンツー。ギンターが右サイドの深くに入る。クロスを送る。香川真司が跳んだ。ヘッドで叩き付けた。

「集中していましたね、しっかりミートすることを」

 渾身の一撃=ボールはフェアマンの手を掠めて、ゴールに吸い込まれていった。FCシャルケ04との“レヴィアダービー”で、ボルシア・ドルトムントが先制する。1-0。

 香川は「やはりダービーですし、特別な雰囲気はあった」と振り返る。ギュンドアンは「雰囲気はセンセーショナルなものだった」と感じた。2015年11月8日の日曜日は、「特別な」日だった。

「ダービー」とは、歴史や伝統といった小難しい話ではない。隣町のヤツらに負けたくない。ただそれだけのことだ。

 隣町のヤツらだけには――。シンプルな原理に突き動かされて、およそ8万の観衆は、試合の始まる前から沸点を抜けようとしていた。ブンデスリーガの第12節は、何かを賭けたビッグトーナメントのファイナルに姿を変えた。

 何かとは、意地であり、誇りであり、目の前のライバルを叩きのめそうとする…とにかく、闘争を呼び起こす全てのものである。

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