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Jリーグ 8年前

【識者の視点】アジアの頂点を決めるに相応しいACL決勝。Jリーグが再び辿り着くために必要なこと

text by 河治良幸 photo by Getty Images

個の力だけでなく組織力も高い広州桓大

 そうしたスタイルを生んだのはブラジルを代表する名将であるルイス・フェリペ・スラーリの指導とボランチのパウリーニョの影響が大きいだろう。例えば7人が守り、3人が攻める様な形で、資金力にものを言わせて3人を強力なブラジル人で固めれば、全く違うチームになっただろう。

 しかし、広州は個で全てを完結する様な選手より、バランス感覚に優れたパウリーニョとセカンドアタッカーのグラールに大金を投じて組み込んだ。前線のエウケソンにしても、フィニッシュの精度は非常に高いが、少ないボールタッチで周囲と絡むプレーが目立つ。

 そうしたバランスの良さはタレントのレベルこそ違えど、良い時のブラジルを連想させるものがある。そうしたチームを中国人がスタメンの大半を占めるメンバーで作り上げたスコラーリの指導力にもあらためて感心させられた。ただ、Jリーグのクラブが出ないファイナルを現場で見届けるのも悔しさがあるものだ。

 今回のACLを振り返ると、Jリーグ勢はリーグ戦の開幕時期の問題もあり、開幕から3試合ぐらいはどうしてももたつくもので、実際に昨年の3冠王者であるガンバ大阪が3連敗を喫したが、そこから軌道修正して準決勝まで駒を進めている。

 結果的には惨敗に終わった浦和を含め、1つ1つの試合を見ればJリーグ特有のパスワークを見せながら、時に効果的なカウンターや縦の仕掛けで相手ゴールに迫ることもできていた。

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