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日本代表 8年前

大儀見よ、イブラになれ。苦境のなでしこ、リオ五輪予選逆転突破のために必要な3つの変革

text by 舩木渉 photo by Getty Images

【1】固定観念を振り払う。意外性のあるプレーを

 まずは“固定観念を振り払うこと”について。多くの人が理解しているように、今大会に参加しているなでしこのメンバーは5年前のドイツ女子W杯優勝時からほぼ変わっていない。大半は昨年のカナダ女子W杯にも出場していた。

 長年メンバーを固定することには当然プラスとマイナスの両面がある。互いのプレー、性格、特徴を深く理解し合った選手たちは代表という短期間しかともにプレーできない中でもすぐに力を発揮できる。チームとしての形を作る上で非常に重要な「プラス面」だ。

 では「マイナス面」は何だろうか。1つの大きな要素は、同じサッカーしかできなくなってしまうことだ。「あの選手はこういうプレーができる」「彼女ならここを見ている」「あそこへ走りこめばボールが出てくる」……そんな思考が無意識に交差し絡み合うが、俯瞰してみるといつも同じサッカーになっていないだろうか。

 今大会では相手に読まれている、いわゆるスカウティングで負けているような場面も散見されている。同じスタイルでプレー精度が下がってしまうと相手にとって“読みやすい”サッカーになってしまう。

 そこで“固定観念を振り払うこと”を意識してほしい。「彼女ならあそこに走っているはずだから、こういうプレーなら」を「この局面なら別のところに走ってほしいな、あっちへパスを出してみよう」に変換してみる。

 すると相手にとっては見たこともないプレーが生まれ、意外性はミスを誘う。そしてゴールに近づく新しい道筋が見つかる。超短期決戦において少々現実味はないが、それぞれの選手が決まった枠の中でプレーするのではなく、もっと「我」を突き通して出し手と受け手の要求を高めていってほしい。

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