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アジア 8年前

“日本の天敵”ケーヒルは“金の亡者”なのか? 母国の“英雄”に豪州人が抱く両義的な感情

text by 植松久隆 photo by Hisataka Uematsu, Getty Images

ケーヒルの不在は豪州にとっての損失

ケーヒルは杭州緑城を移籍先に選んだ
ケーヒルは杭州緑城を移籍先に選んだ【写真:Getty Images】

 既報の通り、この後ケーヒルは上海申花在籍時に比して低い条件を受け入れ、杭州緑城と5ヶ月契約を結び、サッカルーズの主力であるDFマシュー・スピラノヴィッチとチームメイトになる道を選んだ。

 18年のW杯に出場が叶えば、その時ケーヒルは38歳。まずはその実現のために変わらぬ存在感と実力を結果でもって示し続けなければならない。彼にしてみれば、今月末サッカルーズはW杯アジア第2次予選のホーム2連戦(24日のタジキスタン戦と29日のヨルダン戦)で自らのクオリティを見せつけることで、周囲の雑音を封じたい。

 ただケーヒルが存在感を発揮するということは、サッカルーズが“ケーヒル依存症”から抜け出せない事実がさらに顕在化することでもある。そのことは忘れてはならないだろう。

 今回も、“英雄”は戻らなかった。このまま、ケーヒルの活躍が祖国豪州のクラブレベルで見られないことは、この国のサッカーにとっての大きな損失となる。

 サッカルーズで史上最も偉大な選手に選ばれたハリー・キューウェルは、現役の末期にも色々叩かれることはあったが、最後は自国のクラブでキャリアを終えることを選んだ。ケーヒルにも同じことが起こるように願いたいが、期待するだけ無駄なのだろうか。

【了】

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